コロナ禍に読みたい名著:『チーズはどこへ消えた?』
内容
20年前からのロングセラー
2000年に刊行され、多くの人に愛読されてきた名著。
100ページ弱の短いストーリーですが、この本がもたらす気付きは人生の本質を捉えたものです。物語の舞台は迷路の中。登場キャラクターは、二匹のネズミと二人の小人。
ストーリーは単純明快。彼らは迷路の中でチーズを追い求めます。
不安を抱える全ての人へ
この単純な物語は、人生の様々な出来事を象徴しています。
複雑に考えて行き詰まってしまうのは人間の悪い一面とも言えますよね。
コロナの影響で、世間は大きく変化しています。今までのセオリーが通用しなくなり、不安な日々を送る人は多いでしょう。
これはただ単に悪いことなのでしょうか。この状況をどのように捉え、行動するかがこの先の明暗を分けるのではないでしょうか。変わらざるを得ない状況下の今だからこそ、変化に向き合ういい機会だと捉えて、視野を広げてみましょう。
この本は、人生に悩む方・将来に不安を感じる方の視野を広げ、大切なことに気づかせてくれる一冊です。ぜひご一読ください。
感想:自分にとってのチーズは何か
「チーズ」とは、人が追い求める何かの象徴
この物語は本当に単純です。迷路の中にいる2人と1匹が、チーズを探し求めている。ただそれだけです。シンプルなストーリーだからこそ、この話におけるチーズの存在感は大きいと感じるでしょう。
ネズミと小人にとって、幸せとは、チーズを手にするか、しないか、なのです。『チーズはどこへ消えた?』の面白いところは、この“チーズ”を貴方の追い求める何かに置き換えて考えられるところです。例えば、夢、お金、地位、名誉、安定、家族…。貴方が、手に入れば幸せになれると思う何かに置き換えてみてください。
そうすることで、登場キャラクターたちの思考や行動に自分の状況を照らし合わせ、客観的に状況を見ることができます。それがこの物語の醍醐味。ミソは、“チーズ”です。
チーズはいずれ消える
努力の結果、迷路の中で、大きなチーズを発見することができた、ネズミと小人たち。
チーズを手に入れ、幸せになれたと感じた小人たちは、自分たちの見つけたチーズに執着します。チーズがあることが幸せのすべてだと考えたのです。彼らの幸福な生活は、大きなチーズの存在の上に成り立っていました。
ですがある日、チーズは忽然と姿を消してしまいました。当然、小人たちは困惑します。ここで自分に置き換えてみて下さい。
あなたはもし、自分にとってのチーズが消えてしまったとしたら、どうしますか?
ここではチーズを職と捉えてみましょう。私は就活生なので。皆さんも自分の幸せの条件が失われた場合をご想像ください。一生懸命、就職活動を行いやっと手に入れた職。下手したら、これまでの受験だって、全ては良い職に就くために頑張っていた方もいるでしょう。その努力の結晶であるあなたの職が、唐突に失われたとしたら。
あなたのチーズがなくなってしまったら、あなたはどうしますか?
そんなの、直ぐに次の職を探すよ。と思いますか?
でも、こんな風にシンプルに考えることができないのが人間です。多くの人が、一つのチーズに執着し、他のチーズを探すことをためらってしまうのです。
今あるチーズに拘らない
確かにそのチーズは、あなたの努力によって発見できたのかもしれません。ですが、あなたはただ見つけただけで、そのチーズを永遠に自分のものに出来る訳ではありません。
あなたにとってのチーズとは、永久に変化しないと言い切れますか?そう思い込むのは実は危険なことなのだと気づくでしょう。
いったい誰がこの迷路にチーズを置いて、誰が唐突に持ち去ったのか。何故こんなにも理不尽な目に合わなければならないのか。小人たちが自分たちのチーズがあった場所で悲嘆にくれて、身動きが取れない間に、2匹のネズミたちはさっさと次のチーズを探す旅に出ました。
世の中には理不尽に自分のチーズが失われてしまうような状況が頻繁に起こり得ます。
その理由を考え続けることは、果たして人生にとってプラスなのでしょうか。そう思わせられますよね。
あなたにとってのチーズとは、その会社だけですか?その人だけですか?
自分以外の何かが常に消える可能性・変化していく可能性に気付かずに、執着していませんか?
チーズと共に進む
この物語で最も印象に残っているのは、「もし恐怖がなかったら、何をするだろう?」という言葉です。チーズが永遠にそこにある訳ではない、と分かったのなら、行動を起こさなければいけません。
そんな時に、私は、「まだ判断を下すべきではない」「動くことで、今よりも悪い状況に陥ってしまうかも…」など自分が行動しなくてもよい理由を頭の中であげつらい始めてしまいます。よく考えて行動するのは長所かもしれませんが、状況によっては、思考停止とも言えるでしょう。
大切なのは、まず変化の恐怖に打ち勝つこと、そして、変化を楽しむ度量を持つことです。自分の思い描いたチーズを、動きながら探すことが、人生を楽しむ秘訣なのではないでしょうか。
疑問点・気になった点:心の中に、変化しないチーズも持ちたい
変わらず大切にしたいものの存在
自分の人生を変えられるのは自分だけ、変化を恐れず、楽しみながら変化に対応していこう。!という考え方は本当に素晴らしいと思い、共感できました。
わたしは、この物語でのチーズとは、幸せを構成する外的な要因である、と理解しています。もしこのチーズが、自分の中にあるスキルや、目標だった場合、この物語を当てはめるのは、難しいのでは…?と感じました。
例えば、歌が好きで、歌を極めたいと思うこと。これは、歌を極めたいという自分の中の想いに執着しなければ成し遂げられないことですよね。
こんな風に、そう単純には当てはめて考えられない部分もあるのかなと感じました。私の理解不足もあるかもしれないので、お考えのある方は是非コメントをお願い致します。
変化と芯のバランス…
私自身、変化には柔軟に対応しつつも、自分の中に確固たる信念や、能力を持った、芯のある人間になりたいと考えているので、変化していくものと、不変のもの、そのバランスについては、人生の課題だな。と思います。
ぜひご一読を!
内面的なことはともかく、様々な変化が起きているこのご時世に、ピッタリな一冊であることは間違いありません!以上、名著:『チーズはどこへ消えた?』のレビューでした。読んで下さってありがとうございました(>_<)
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